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禁断のケーキ
じゃらん♪

青い空、白い雲、風が運ぶ潮の香り、湧き上がる歓声ーーー…。
あぁ、それなのにどうして。

「ダーリンのぶわぁかあああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっっっ!!!」


ザッシザッシと海岸の砂を踏みしめて、拳を強く握り締めて、
ラムは一人、波打ち際を歩いていた。
体のそこかしこから怪しい光を小さく漏らしながら、ぶつぶつと呟いている。
「もう、どうしてダーリンはいつもいっつも他の女の子ばっかり見るっちゃ。
 せーっかくのおニューの水着もぜーっんぜん目に入ってなかったっちゃ。」
彼女の通る辺りだけ、歓声がぴたりと止み、人々が恐る恐るその様子を横目で伺う。
「こ、こわ〜…。」
「か、顔はかなり可愛いが、あれはちょっと声をかけられんな…。」
「馬鹿、目を合わせるな!」
「彼氏に振られたのかしらねぇ…。」
ぴくっ。
どこからか聞こえてきたその言葉に、ラムの片眉がつり上がる。
「しっ、声が大きいわよ!」
ささっとそっぽを向く一組のカップル。
「………何だっちゃ?」
「あ、いえ、何でもないですっ!」
首が千切れんばかりに横に振って答える。
ラムは大きく息を吐くと、「そうけ。」と一言残して、また歩き出した。


小さいがちょっと洒落たホテルの一室。
ベランダから見えるのはさっき自分がいた海岸。
「はぁ〜、ダーリンったらどこまで女の子を追いかけて行ったのかなぁ〜…。」
手すりに頬杖をついて、眼下に広がる景色の中から愛しの彼を探す。
「へそくりはたいて来たっていうのに、これじゃあいつもと変わんないっちゃよ。」

くるりと向きを変えて狭い部屋の中を見る。
2つ仲良く並んだベッド、フリルと花柄に彩られたベッドカバーと枕、
枕元に置かれた綺麗な細工のルームランプ、清潔な印象を与える白い洗面台と浴槽…。
「ダーリンのばかぁ…。」
ラムはパーカーを脱いで、ビキニの水着姿を鏡に映して見る。
「うち、魅力ないのかなぁ。」
はぁ、とまた1つ大きなため息をつく。
そしてがばっと勢いよく顔を上げた。
「やーめたっ! こんな所にいたってダーリンは見つからないっちゃ。探しに行くっちゃ!」
脱いだばかりのパーカーを引っつかんで羽織ると、ベランダから外へ飛び出した。



「……見つからなかったっちゃー……。」
がっくりと肩を落としたラムが1人で部屋へ戻ってきたのは、夜の7時頃。
「信じられないっちゃ! うちが費用の2/3以上出したのに、少しは気を使うべきだっちゃ!」
海辺の屋台で買ったヤキイカに大口開けてかじりついた。
「これじゃあ馬鹿みたいだっちゃ、うち…。」
ぼふん、と気の抜けた音を立てて、疲れた体をベッドの上に投げ出した。
ただあたるを探し回って終わった一日。
そのまま目を閉じて、ラムは眠りに落ちてしまった。



キィー…。
小さな小さな音と共に部屋のドアがほんの少し開く。
ドアの隙間から無理やり体を滑り込ませるようにして、男が室内に入った。
あたるである。
部屋の中は真っ暗。
開いたままのベランダから入ってくる海風が
白いレースのカーテンを揺らすのがぼんやりと見えた。
「ーーー…ラム〜…?」
口に掌を添えて小声で呼びかけてみた。返事はない。
忍び足でベッドの側まで近づく。
ベッドに備え付けられたデジタル時計を見ると、現在時刻22:34。
ラムは白いシーツに体を深く沈めて、寝息を立てていた。
「…何だよ、せっかくこんな所まで付き合って来たっちゅーのに、1人で先に寝るとは。」
ラムが起きていたら「何勝手なこと言ってるっちゃ!!」と電撃を浴びせられそうな言葉だ。
「せっかく買ってきてやったのに。」
手に持った袋をラムの寝顔に近づける。
袋から取り出したものは、ヤキイカ。
「ほれほれ〜…。」
ラムの鼻の前でヤキイカをちらつかせる。
「ーーん、……。」
寝言とも寝息ともつかない小さな声を上げて、ラムが身体を揺する。
つられて、あたるはラムの身体に目を移した。
月明かりのみに照らされたラムの身体。
「ーーって水着のままかよ!」
あたるを探し疲れ、ふて腐れてそのままの格好で眠ってしまっていたのだ。

いつものトラジマ柄とは違う、白地に鮮やかな夏の花を彩ったビキニを身に着けている。
横たわった体勢でもはっきり分かるふくよかな胸の形に、あたるはごくりと喉を鳴らした。
「……本当に、寝てる、のかー…?」
恐る恐るラムの顔を覗き込む。
鼻先が触れそうな程に近づいて見るが、ラムは相変わらず目を閉じたままだ。

ポトッ。
「うわっ!」
思わず叫び声を上げそうになって、あたるは慌てて口を塞いだ。
ラムの胸元に、さっきまであたるが手に持っていたヤキイカが。
「やばっ!」
あせってヤキイカを取ってサイドテーブルの上に放り投げた。そして振り返ってラムを見る。
「…起きた、か…?」
ラムは起きていない。
だが、ラムの白い胸元にはヤキイカのタレが付いてしまっていた。
「あっちゃ〜、はな紙はな紙…」
サイドテーブルの上にあるボックスティッシュに手を伸ばす。
「う、ん…」
起きたか!?
あたるの身が固まった。恐る恐るラムの方を見る。
ラムは目を閉じたまま軽く眉間にしわを寄せて、タレの付いた辺りを指で少し掻くと、
その左手を再びシーツに沈めた。
「セ、セーフ…。」
あたるは冷や汗をぬぐった。
タレを拭き取ろうと、ティッシュ数枚を手にラムに近づく。
しかしティッシュをラムの胸元に当てようとした瞬間、あたるの中の悪戯心が頭をもたげ始めた。

「…勿体無い、よなぁ…。」

ティッシュを放って捨てて、両手をラムの身体の横に置く。
それからラムの胸元に顔を近づけた。
胸元のタレが、あたるの鼻の頭に付きそうな程近くなった。
冷めてしまったタレからは微かに甘辛な香りがした。
「美味そー…。」
あたるは舌を伸ばして、ラムの胸元に付いたタレをぺろりと舐めた。
ちろりと上目遣いにラムの様子を伺う。
起きない。
あたるはまたぺろり、もう一度ぺろりと舐めた。
その肌の感触、滑らかさに驚く。

「…指にも、付いたよ、なぁ…?」

ラムの左手の人差し指と薬指。その先には赤茶色のタレが少しだけ付着していた。
ラムの左手を取って自分の口元へと導くと、舌を伸ばして恐る恐るその指先を舐めた。
「あまー…。」
更に舌を出してラムの指を舐める。
タレはもうとっくに綺麗に取れているのに、何でこんな味がするんだろう。

あぁ、喉が渇く。
舌先だけじゃあ足りない。
もっと、もっとーー…。

あたるは徐々に口を開けて、もっと深く味わうべく、ラムの指を咥え込もうとした。

「う、…んー……」

びくっ。
あたるは握っていたラムの手を咄嗟に突き放し、思い切り自分の身を引いた。
ヤバイ、本当に起こしちまったか!?
自分の心臓の音がどくんどくんと部屋一杯に鳴り響く。
あたるはぎゅっと閉じてしまった両目を薄っすらと開けて、ラムの様子を凝視した。

「ん、んー…、ダーーリ…ンのぉ…」
その後は聞き取れない。
もごもごと何かを呟いた後、ラムは寝返りを打って、身体を左横に向けた。
すうすうと安らかな寝息が静かな部屋に響く。
ラムは起きなかった。
「ふぅ、危なかったー…。」
あたるは隣のベッドに腰掛けて、ラムの寝姿をぼんやりと眺めた。
自分がさっき濡らしたラムの指先に、乱れた碧色の髪が幾筋か張り付いている。
その様に妙に気恥ずかしくなって、あたるは目を逸らした。
そしてがばっと布団を頭から被ると無理やり眠りに落ちた。



「ーー…ン、ダーリン、起きてダーリン!」
「ん〜…? 何…」
ゆっさゆっさと体を揺らされる感覚に、あたるは重い瞼を開けた。
「もう朝だっちゃ!」
ベランダから入ってくる眩しい日の光を背に、ラムがにっこりと笑っている。
その後ろでひらひらと風に舞っている白レースのカーテン。
ーー…何か、新婚サンみたいじゃねえ?
「〜〜わ、分かっとるわい!!」
ラムの肩をくっと軽く押しのけて、あたるは起き上がる。
「あと1時間でチェックアウトの時間だから、ダーリン急いで!」
「何ぃ!? お前、どうせならもっと早く起こせよな〜。」
ぼやきながら、あたるは洗面所に向かう。

「ねぇ、ダーリン。」
「あー?」
「ダーリンも昨夜ヤキイカ食べたっちゃ?」
「え、あ、あぁ…ちょっとな。って、お前も食べたのか。」
「うん、あの海岸の屋台で売ってたやつ。おいしかったっちゃねぇ。」
「…あぁ、うまかったな。」

そう返事をした後、あたるは冷たい水でバシャバシャッと勢いよく顔を洗うのだった。



(終)

18万ヒットのキリバンを踏んで下さった水無月香流さんに捧げます。
水無月さんのリクエスト内容はーー

『やっぱりダーリンとラムちゃんのラブいやつでv
2人は夏休みで海に旅行へ行ってお泊り。
当然海で泳ぐのですが、ダーリンは女の子を追いかけていてラムちゃんなんかほおっています。
(ラムちゃんの水着姿に恥かしがっているのかも知れませんが。)
で、ラムちゃんは怒ってホテルへ戻ってしまいます。ダーリンは構わず女の子の追っかけJ
そしてダーリンが部屋に戻ってきた時ラムちゃんはふてくされています。それでダーリンはどうなるか〜(暴走)』

とのことでした☆
水無月さん、ありがとうございました〜(^o^)丿



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