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3月13日だけど?

キ〜ンコ〜ン…カラ〜ンコ〜ン…
「今日どっか寄ってく?」
「と〜ぜんっ♪」
「それじゃさー…」
退屈な授業も今日は終わり、皆テキパキと帰り支度をしながら、午後の予定を入れるのに余念が無い。
「あ〜疲れた」
開放感から独り言をいいながら、あたるはおもいっきり全身で伸びをする。
「疲れたって…ダーリンはずっと寝てばかりだったっちゃ?」
「やかましいっ!大きなお世話じゃっ!」
まったく、必ずツッコミを入れてくる奴じゃ。
「おまえ今日は掃除当番だろ?早く掃除にとりかからんかっ!」
本当は当番かどうかなんて知らないが、適当に言ってみた。
「ラムー、早くすませちゃうわよー」
正真正銘の掃除当番のしのぶが、ラムに釘を差すようにこっちを見ながら大声で言う。
「ほらっ、しのぶを見習いたまえ」本当に当番だったのか…。
俺はニヤニヤしながらラムの額に軽くデコピンをした。
ほんの軽くなのに、頬をぷぅと膨らませて額に手を当てる。
他の男なら目を奪われるであろうそんな魅力的な仕草も、俺はいちいち反応しない。
「…と、ゆーわけで僕は先に帰らせてもらう」
勝ち誇ったように言い切ると、ラムは悔しさで一杯の様子だ。
「ん〜、すっかり忘れてたっちゃ……でもダーリン!うちがいないからって女の子にちょっかい出してたら許さないっちゃよ?いーっちゃねっ!!
うっ…すごい迫力…。気のせいかツノも一瞬伸びたような気もする。
けど、毎日毎日こんな調子だからとっくに慣れとる。
「そんなことを言っとるヒマがあったら掃除をしたまえ………んじゃお先〜〜♪」
やかましいあいつが掃除当番とは今日はツイてるかもしれない。
ラムが大声で怒鳴っているのを背中で聞きながら、俺は楽しいガールハントに繰り出した。

「しつこいわねっ!」
パチンッ!!
「そ、そんなぁ〜ちょっと待ってよ、お姉さーーーん」
俺の訴えも空しく、足早に立ち去るキレイなお姉さん…。
今日は商店街をターゲットにした俺だったが、人通りこそ多いものの、どういうわけなのか『男つき』ばかりである。
ヒリヒリする左頬をさすりながら次の標的を探すが、目ぼしい娘は見当たらない。
「これじゃ、やる気が起きんな…もう帰るか?」
キョロキョロ辺りを見渡しながら帰ろうとした俺だったが、見覚えのある後姿が目に止まった。
同じクラスのコースケだ。
どうやら一人のようだ。こんなところで何をやってるんだろう?
俺は後ろから近づいて背中をポンと叩いた。
「よっ!何してんだよ?こんなとこで」
「うわっ!!」
やけにオーバーに驚いて振り向くコースケ。
「何だよ…ちょっと声かけただけじゃないか?」
「な、なんだあたるか…」
そんな大きな声出されたらこっちが驚くわい!
視線を落とすとコースケの手にはかわいらしくラッピングされたお菓子が握られていた。
見ると、この一角はホワイトデーコーナーである。
「へぇ〜……」
なるほどね、あの変な彼女へのお返しってわけか。
前にラムと一緒にデートしたことがあったし、コースケとその娘がその後も続いていることは知っていた。
結構かわいい娘だが、ある意味ではラムより大変な女だ。
「そんな可愛らしいのでいいのか〜?あのコには馬鹿でかい業務用とかの方がいいと思うが…」
「アホッ!そんなもん渡せるか…これでもマジに付き合ってんだからな」
「にゃははははっ…冗談だよ、冗談」
まんざら冗談でもなかったのだが、そう答えておいた。
「…あたる、お前はもう買ったのか?」
今日は3月13日、お返しをするのならとっくに買っておかなければならない日である。
「買うって…誰に?」
白々しく惚けてしまう俺。
「ラムちゃんだよ、ラムちゃん!ちゃんと貰ったんだろ?」
「まぁ…、一応な……。」
一応なんてもんじゃない。しっかりチョコレートケーキを貰っている。
しかも二つも…。
恥をしのんでしのぶに教えてもらいながら作ったケーキ。
自分で悪戦苦闘してなんとか作り上げたケーキ。
………味の方は雲泥の差であったが、どちらも嬉しかった。
しかし、俺はこれまでラムに“お返し”をしたことは無い。
今年もそのつもりだった。
「あたる…お前まさか何にも返さんつもりじゃないだろうな?」
ぎくっ…!人間誰でも図星を指されればうろたえる。
俺は持っていたカバンを落としてしまった。
「まったく…信じられないやつだなぁ…普通なら即、破局モンだぞ?」
普通なら…か…
俺とラムは普通…じゃない…な、やっぱり(汗)
「あたる、お前も少しは………ま、いいや…、あ、俺これがいいと思ったんだけど、どう思う?」
と俺への説教?を途中でやめ、自分が選んだものが並べられている棚を指差す。
コースケが指差したのは、なにやら小さなクマのぬいぐるみとセットになった、ものすごく可愛らしいやつだった。
「ん?あ、あぁ、いいんじゃないか?」
その可愛らしさは凄まじく、俺なら絶対に選ばないものだった。
適当に返事をして反対側を見る。
こっちもクッキーやらチョコやらアクセサリーやら下着やらの山…。
バレンタインデーはチョコレートと大体相場が決まっているが、ホワイトデーはそうでもないらしい。
1回選んだものを元の棚に戻して、真剣に品定めするコースケに付き合ってあちこち眺めていたが、ちょっと興味をそそられるものが目に入った。それは星型の入れ物に飴やらなにやら詰め合わせになっていて、ぬいぐるみのような余計なものはついていないシンプルなものだった。
ふと、手に取って角度を変えてみる。
後ろに包装済みのものが積み重ねられており、光沢のある紺色の包装紙で包められたそれには黄色いリボンがついていた。
我ながら単純だが、何か宇宙的な感じがしてラムにはピッタリな気がする。
値段は600円………。
巷では“3倍返し”という男にとっては不公平な常識があるようだが、貧乏な俺が、もしお返しをするならこんなところだろう。
あいつなりに努力して贈られたケーキ。
それには釣り合わないかもしれないが………。
『本当にうちにくれるの?嬉しいっちゃーーーー!』
あいつのことだからオーバーに喜ぶんだろうなぁ…。
単純バカだから、ひょっとすると感激のあまり泣くかもしれんな。
飛び跳ねて俺に抱きつく様子が目に浮かぶ。
あんなふうにおもいっきり抱きつかれるのは嫌いじゃない。
人前じゃないというのが条件だが…
「なんだ?やっぱり買うのか?」
「へっ!?」
不覚にも妄想モードに入っていた俺だが、結局、最初に選んだやつを買ったらしいコースケの声で我に返った。
あ、あぁ…まーな。
今年は特別じゃ。
しかし―。
「アホッ!た、ただ見とっただけじゃ!終わったんなら俺はもう帰るぞ!」
馬鹿な俺はそう言い放ってコースケに背を向けた。

帰りたいわけではないのに、足は家に向かっている。
前へ進めている足を止めて1回転するだけだ。
…簡単じゃないか。
しかし足は止まらない。
「あたる君?」
聞き慣れた声に振り向くと、しのぶが手を振っていた。
普段なら喜んで抱きしめに行くところだが、今はそんな気分ではない。
「しのぶ、もう掃除終わったのか?」
「とっくに終わってるわよ?ラムも帰ったと思うけど…」
「ふ〜ん…」

途中まで道が同じなので、ふたり並んで歩き出す。ずいぶん久しぶりのことだった。
やはり、元“彼女”である。
こうして二人で歩くと、心騒ぐものがある。
俺はなんとなくラムが来る以前のことを思い出していた。
あの頃はよく互いの家を行ったり来たりしていた…。
ラムとは正反対の性格とも言えるしのぶだが、一時は俺を取り合ってケンカもしていた。
その後いろいろあって自然消滅的に別れたわけだが―。
そんな感傷に浸っている俺を否定するようにしのぶが話し出した。
「あたる君…」
「何だよ?」
しのぶの声で現実世界に引き戻されてしまった。
どうも今日は妄想が多いな…
「今年はちゃんとしなければダメよ?」
何のことを言っているのか大体見当がついた。
が、ヘラヘラごまかすこともせず、俺は返事をしなかった。
一呼吸おいて、
「私のところに来る位なんだから………」
と、言ったきり、しのぶは何も喋らなかった。
なぜ皆はっきり言ってくれないんだ?
なんて自分勝手な理屈が頭に浮かぶ。
コースケもしのぶも、なんでお節介を焼くんだろう。
理由は良く判らない…が、踏ん切りがついた。
そうだよな…たまには応えてやらんとな…
交差点でしのぶに手を振った後、彼女の姿が見えなくなってから俺は今来た道を戻った。


あちこちの外灯がチカチカ灯りだす頃になって家に帰ってきた。
だいぶ日が長くなってはきたがまだ3月だ。5時半ともなれば辺りは薄暗い。
「ただいまー」
「あたる!こんな時間まで何やってたの!帰ってきたら手くらい洗いなさいっ」
夕飯の支度に忙しい母親が叫ぶ。
「わかっとるっ!」
無視して自分の部屋に上がった。
もう家にいると思ったのに、ラムはいなかった。
かえって好都合である。
ポケットの中のものを出して机の上に置き、制服のまま椅子に腰掛ける。
“お返し”の包装紙がシワになってないか気になっていたが大丈夫のようだ。
「う〜む…さて、どうしたもんか…」
いろいろシュミレーションする必要があった。
なにしろ、初めてなのだから…
…学校はダメだな……面堂や他のやつらがギャーギャー騒ぐのが目に浮かぶ。
俺は首を左右に振る。
と、なるとやっぱり家、か…。
しかし、家ったって、いつ?どうやって?………なんて言って?
スマートにさり気無く、というのが俺の理想だが…どうもそういうシーンを思い描くことが出来ない。
うーん………
3月14日もあと数時間で終わる頃…ジャリテンは熟睡中、ラムは普段通り…
俺はおもむろに呼びかける。
『ラム』
『なーに?ダーリン』
初めから期待などしていない彼女はちょっと眠そうな目で俺を見つめる。
『ケーキ…美味かったよ……これ、貰ってくれ』
『…ダ、ダーリン………本当にうちに?』
『あぁ』
歓喜のあまり涙を流す彼女。
『なんだよ…泣くことないじゃないか』
なーんて、どぅわっはっはっはっ………って何を考えておるのだ?
「あ、あれ?!」
―自分にはあり得ない妄想を繰り広げたせいか、椅子によりかかり過ぎた。
ガタン!ドカッ!!
「ぶわっ!いてっ…くそ、何なんだいったい…」
そのとき―
ズズッ…と押入れの戸が開いた。
「うーん…今の何の音だっちゃ?あれ、ダーリン?何してるっちゃ?」
ラ、ラム!!何でそんなとこに!?
「あ、もうこんな時間!?……ちょっと昼寝しすぎたっちゃ…」
ラムは大きな口をあけ、両腕を天井に向けてあくびをしている。
こ、こいつ押入れの中で寝てたのか?何考えてんだ!
ラムの寝ぼけ眼が机の上で止まる。…まずい!
「ダーリン…それ…」
慌てて立ち上がって例の物を机の上から引ったくり背中の後ろに隠す。
「何で隠すっちゃ…?」
「い、いや、これは………な、何でもない…そ、そろそろ夕飯の時間だな、下に降りよう、な?」
「さては他の女から何か貰ったっちゃね?うちが知らない間に…本当に油断ならないっちゃー!!」
一気に目が覚めたラムは、時折電撃を発しながら、肩をいからせて近づいてくる。
アホか、こいつ。なんでそっちの方向に決め付けるんじゃ!
「バ、バカ、違う!落ち着けっ!よく考えろ!」
俺はカレンダーが飾ってある方を指差す。
「…何だっちゃ?ごまかそうとしても、そうはいかないっちゃよ!」
俺の説得も空しく、再び近づいてくる。あと2歩で電撃フルコース決定だ。
今ここで電撃を受けたら、背中に持っている物もろとも…
「ち、違う!よく考えろって、断じてお前が怒るようなものじゃない!」
「くやしいっちゃーーーー!!」
ラムは怒りの形相で飛びかかってきた。
ドスンッ!バリッ!
押し倒された俺の背中で割れた音がした。
ラムもその音に気づき、さすがにすまなそうな眼差しを向ける。
二人顔を見合わせ、部屋はシーンと静まり返った。
…ま、こんなもんか。1日早いがしょうがないな。
俺は下敷きになったそれを腕を回して器用に取り出した。
「………ほら…やるよ」
気に入っていた包装紙がところどころ破れ、中の容器も割れたであろうそれを、馬乗りになっているラムに差し出した。
「え?…これ、うち………の?」
ラムは驚きの表情で、丁寧に包装紙を外して中身を出す。
「これ、ホワイトデーの?……うちの為に…ダーリンが……」
うわ言のように呟く。
―そして、堰を切ったように泣き出した。
「ダーリン!ごめんちゃ…うち…うち………わーーーーー!!」
大声で叫ぶように―
まさか自分にくれるものだとは思っていなかったのだろう。それを壊してしまったのだから無理もない。
こういう時、どうしたら良いか判らなくていつも固まってしまう。
髪を撫でたり、優しく抱きしめたりすれば良いのだろうが、結局、今日も何も出来ないでいた。
泣き続けていたラムも、しばらくして落ち着きを取り戻した。
もう馬乗りの体制ではなく、ラムの両腕は俺の首に回されている。
「…ダーリンがうちにお返しをしてくれるなんて、信じられないっちゃ…」
「アホ、お前以外に渡す奴なんて……い、いや、今年は特別じゃ、もう、一生無いかもな」
口が滑り、慌てて冷たく言い直す。
「そんなぁー、うち、来年も頑張るから!いいでしょ?」
頑張る?ちょっと不安だが、今年より更にマシにはなるだろう。
なんとも嬉しいセリフだった。
「今度は1個にしとけよ…しのぶに迷惑だからな…」
「…うんっ!」

「あたるー、ラムちゃん、ご飯よー」
春が近づきつつある季節とはいえ、日が落ちると肌寒い。
母の声を聞き流し、互いの体温を感じる。
1日早いホワイトデー…。

とーますさんが私の拙文「ちょこっとLOVE」の続きを考えてお話にして下さいました☆ミ
甘いですね〜ぇ////
ダーリンが妄想暴走族してますネvv
私的にはあたる君とコースケとのやり取りがいいなぁと思いました!
青春ですーー(>_<)b☆ミ
とーますさん、ありがとうございました〜♪



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