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俺が居間でテレビを見ている間に、ラムが晩飯の支度をした。
(と言っても、シュウマイと味噌汁と温めて、御飯と共に運ぶだけだが。)
「さ、ダーリン、食べよ!」
「ん?ジャリテンはどうした?」
テーブルの上には2人分の食事の用意しかない。
「あぁ、テンちゃんは来ないっちゃ。昨日の夜、おばさまが来て、久しぶりに休暇が取れたからって、
テンちゃんを連れて行ったっちゃ。テンちゃん、今ごろ母ちゃんに甘えてるっちゃねv」
ふふふ、と楽しそうに笑って話すラム。
「ほーかほーか、うるさい奴がおらんで、平和に過ごせるわい。」
シュウマイも1人4つだ。ラッキー!
ぱくぱくと飯を頬張る俺に、ラムがさらりと言った。
「だから、今夜は2人きりだっちゃ。」
俺の箸が止まった。


父さんと母さんがいなくて、ジャリテンもいない。
俺とラム、2人きり。
いや、ちょっと待て、俺。何を考えとるんだ。
今更、ラムと2人きりだからってどうだと言うんだ。
わはははは。
っとっと、箸、落としそうになった。
落ち着け、落ち着け。
別にどうってことないんだから。
そうだ、メガネが学校で言ってたじゃないか。
「お前はラムさんに興味ないんだよな。」って。
その通り!
ほら、前にもこんなことあったじゃないか。
あの時も父さんと母さんが出掛けて、ジャリテンは居たけど。
邪魔しに来たメガネや面堂たちをラムが追い返して。
あの時だって、結局は何もなかったじゃないか。

…ラムがあんなヘンなスーツさえ着せなきゃな。                                       

そもそもラムの奴は寝ぼけて放電するんだ。
こっちがヘンな気を起こそうとしたって、ばりばりヤらけて黒コゲだって。

…今夜は電撃が、使えないんだよな。                                       


「ダーリンッッッ!!!!」
「うわぁっ!」
怒鳴る声に驚いて顔を上げると、目の前にラムの顔のアップがあって、2倍驚いた。
「もう、食事中にぼーっとするなんて、行儀悪いっちゃよ。」
ラムはもう食べ終わり、自分の食器を台所へ持っていこうとしていた。
そして、再びがつがつ食べ始めた俺に聞いた。
「ダーリン、お風呂入るっちゃよね?」
がちゃん。
茶碗を落としてしまった。
「あー、もう、ダーリン!何やってるっちゃ!」
ラムは自分の食器をテーブルの上に置いて、俺の前に膝をついて座ると、
じゅうたんの上にこぼれた御飯つぶを拾い出した。

目の前で、ラムの長い髪が揺れる。
自分たちとは違う、碧色の髪。
柔らかいそれが、時々頬や鼻先をくすぐる。
俺はその髪を一筋、手に取ってみた。

「っ?!何、ダーリン??」
ラムが髪を手でおさえて振り返った。
珍しく顔が赤い。
「な、何って…、別に…。」
聞かれて返答に詰まった。
自分でも何か分からない。
ただ、髪が…。
「ダーリン、さっきから変だっちゃよ!」
ラムは少しむくれた顔をして言うと、立ち上がって台所へ行ってしまった。
1人残された俺は、少なくなった御飯をのろのろと口へ運んだ。


「じゃあ、うち、先にお風呂に入るっちゃね。」
そう言い残して、ラムが風呂場へ向かった。
ラムに先に入るように進めたのは、俺。
何となく、先に入って欲しかった。
ラムが風呂に入っている間、俺はテレビを観ていた。
今夜の洋画はいわゆる「エロティック・サスペンス」ってヤツで。
急な「2人きり」といい、このおあつらえ向きなテレビ番組といい、何か仕組まれてるんじゃないか?!
しかし、「エロティック」は観たかったので、チャンネルはそのままにしておいた。
映画は冒頭から、主人公の男と彼の美人秘書との不倫現場から始まる。
アメリカ映画のラブシーンは濃厚で、父さんや母さんがこの場にいたら、
「子どもの見るもんじゃありません!」と即行でチャンネルを変えられていただろう。
俺はテーブルに頬杖をついて、ラブシーンに見入っていた。
いいトコロでラブシーンが終り、集中して観ていた意識が緩んだ。
画面はその後、美人秘書が男の妻を殺す場面へと移る。
緊迫した場面。役者は一言もしゃべらず、静かで恐々としたBGMだけが流れる。
その時、俺の耳に別の音が入ってきた。
風呂場の水が流れる音。
…ラムが風呂に入ってるんだ。
しばらくして気づいたときには、殺しの場面は終わり、パーティーのにぎやかな場面に変わっていた。


スリッパと床が擦れる音がする。
音は居間の前で止まり、ラムが入ってきた。
「ダーリン、お風呂お先〜。お湯、熱くしておいたっちゃよ。」
ラムが濡れた髪をバスタオルで拭きながら、居間に入る。

風呂上りで上気した頬が妙に色っぽかった。
洗い髪から良い香りがする。
すぐ隣に座ったラムの身体が火照っているのが感じられる。

「着替えをこっちにも置いといて良かったっちゃ〜。」
UFOに取りに帰れないから、とラムが笑う。
着替えとは言っても、実際それは下着だけの話。
ついこの間、しのぶや竜ちゃんと一緒に行ったデパートで、地球の服を買ったついでに、
地球のソレも買ったのだとか。
買って帰って来た日に、
「今度、この下着でダーリンを悩殺するっちゃ!」
と、馬鹿なことを言ってたっけ。
どーいうソレなのかは、結局見せてもらってはいないのだが。
「ダーリンのパジャマ借りてごめんちゃ。ちゃんと洗って返すっちゃね。」
そうなのだ。
今のラムの格好は、ソレの上に俺のパジャマを着ているとゆー、実にこれまたおあつらえ向きな格好なのだ。
一体何なんだ、この状況は?!据え膳≠ヌころじゃねーぞ!
これはもう我慢大会に近いって。
1人、目のやり場に困っている俺の心中など、ラムには全く分かっていないのだろう。
「ダーリンも入ってきたら?」とにっこり笑いかける。
…やっぱり可愛いよな。
っと、いかん、いかん。
頭を振って邪心(?)を消し、俺も風呂に向かう。
「あ、ダーリンの着替え…。」
ラムも立ち上がって、後を着いて来た。
2階の部屋から俺の着替えを取ってくるつもりだ。
何だか本当に夫婦みたいで、急に気恥かしくなり、俺はラムを引き止めた。
「いいって。自分で行くから。」
「何で?うち取って来てあげるっちゃよ。」
そう言ってラムが俺の顔を見上げた。
逆に俺はラムを見下ろす格好になる。
ふと、妙な感じがした。
…ラムって、こんなに背、低かったっけ?
「お前、身長縮んだんじゃないか?」
口にした直後、自分でも馬鹿なコトを言ったと思った。
縮むワケないじゃないか(汗)。
「何言ってるっちゃ、ダーリン?うちの背は伸びることはあっても縮んだりはしないっちゃよ!」
もう、さっきからおかしいっちゃ、と、ラムが俺の額に手を当てた。
ラムの手は下から伸び、やはり上目遣いで。
「あ、そうか、分かった。」
俺は納得した。ラムがびっくりしている。
「いつもはお前が宙に浮いてることが多いから、身長の差があんまり気にならなかったんだ!なんだ、そーか!」
納得、納得。今のラムは飛べないんだから。
そうか、ラムってこれくらいの背なんだ。
いつもは見下ろされることが多いから、ラムのことを見下ろしている自分がちょっと誇らしく感じた。
呆れた顔で俺を見上げるラム。
それまでも何だか無性に可愛く見えて、俺はにたにたとラムの頭をなでた。
「…で、ダーリン、お風呂、入るっちゃよね?」
ラムの言葉に我に返った。
「あ、そうだ。風呂に入ろうとしてたんだ。」
「着替え、自分で取りに行ってね。」
様子のおかしい俺に付き合っちゃおれんとばかりに、ラムは踵を返して居間へと戻った。
さっきまで俺が観ていた「エロティック・サスペンス」映画が付けっ放しになっていたが、
ラムは興味がないのか、チャンネルをバラエティー番組に変えてしまった。
ま、いいか。俺は風呂場へと向かった。




長い…(汗)。
part3へ続くってことで(滝汗)。


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